屋根の縁切りとは?

塗装が必要な屋根には、縁切りをしなければならない場合があります。
いつも縁切りが行われるわけではなく、ケースバイケースではありますが、なぜ縁切りが必要なのかをわかっていないと、必要がないのに縁切り作業をやってしまう恐れがあります。
縁切りのことは、施主も基本的な知識として知っていると何かと便利でしょう。
縁切りは重要だが面倒な作業
屋根の塗装時に行われる「縁切り」とは、塗装が必要なスレート屋根でよく実施されている作業工程です。
簡単にいえば、屋根を塗装した後に、屋根材と屋根材の隙間にくっついた塗料をカッターなどで切って隙間を開けていく作業のことです。
ただ、このような縁切り作業は昔によく行われていた方法で、手作業が時間がかかり、屋根を破損する恐れもあります。現在では「タスペーサー」という道具を使って、縁切りを効率化して確実に作業できるようになっています。
なぜ縁切りが必要なのでしょうか?
スレート屋根の重なり部分には必ず隙間が開いています。この隙間は水や水蒸気を排水するために必要な大切な隙間です。屋根塗装により、塗料で隙間を完全に塞いでしまうと、水が抜けなくなってしまいます。
屋根の部分に染みができ、内側では木材が腐食したり、雨漏りの原因となったりしますので、隙間を開けるために必ず縁切りが必要となっています。
タスペーサーが安心
手作業による縁切り作業は、塗装後に実施するので、屋根の破損や汚れの心配がありました。
しかし、タスペーサーを使うと作業の手間を省き、確実に縁切り作業ができます。
タスペーサーは、中塗り前に隙間に差し込んで使うポリカーボネート製の部材です。
タスペーサーを使っても、1平米あたり300~500円、費用にすると5万円以内で済み、手作業による縁切り作業に比べると少しだけ安く施工できます。
縁切りが不要なケースとは?
縁切り作業そのものは、5~6万円程度の作業ですが、コストや工程を節約するためにも、縁切りが不要な場合はカットしてもらいましょう。
例えば、急勾配の屋根や屋根材が沿って屋根の隙間が開いている場合です。
勾配な急な屋根とは、5~6寸勾配以上の屋根です。傾斜が強く、塗料や水が溜まりにくいからです。
また、経年劣化により、屋根材の端が沿っていきます。タスペーサーが使えないほどの隙間が開いていると逆に縁切り作業は不要となります。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。