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見積書同士の比べ方

「複数社から見積書をもらい、比べる」という方法は有力ですが、「比べ方」に注意しなければなりません。
一番良くないのが「値段だけを比べる」というものです。
もちろん値段自体も大事ではありますが、それよりも「なぜその値段になるのか」を把握した上で、比較検討しなければなりません。
また、「保証内容」「工期(の予定)」「塗料の等級」「工事範囲」なども絶対にチェックしておきましょう。
少し大変な作業かもしれませんが、10~15年に1回の工事ですからきちんと労力をかけましょう。
そうすることであなたのマイホームの寿命を延ばすことができますし、一度信頼できる業者を見つければ、基本的には今後も付き合っていけると言えます。


見積書の確認方法

同じ注文をしても、外壁塗装業者次第で、工事料金・数量の記載形式・面積などが異なります。
そこでここでは、見積書の確認方法について解説していきます。


足場工事について

足場工事をせずに外壁工事をすることはまずありません。
そして実は、工事全体の料金の中で足場工事料金が占める割合はかなり高いです。
「足場を減らせばいいのでは」と感じるかもしれませんが、それをしてしまうと効率が下がるため、総合的な料金がかえって高くなります。
料金は基本的に「足場をかけているときの面積」で算出します。
そのため、「外壁面積そのもの」よりも広くなります。
「書類上の外壁面積=外壁全体の面積-開口部(窓など)の面積」である場合が多いですから、足場面積との差がかなり大きくなることも珍しくありません。
足場ですが、タテ方向は「地面の50センチ下~軒先の100センチ上」、ヨコ方向は「外壁の100センチ横」という感じに設置します。


屋根足場について

屋根の角度がきつすぎて歩いて塗装することが困難であるのであれば、屋根にも足場を設置する必要があります。
また、これらに該当する場合は足場料金が高くなるケースがあるので注意しましょう。

・状況に応じて設置したり外したりする必要がある(カーポートがあるなど)
・隣の建物との距離が非常に短い
・物件が高台にあり、階段を頻繁に使うことになる
・建物と駐車場がかなり離れている

メッシュシートについて

外壁塗装を行うときは、足場にメッシュシートを敷いて塗料が付近に飛び散らないようにします。
全体を覆うのであれば、「メッシュシートの面積=外壁面積」となります。

高圧洗浄について

高圧洗浄機を使い、藻やコケや細かな塵などを完全に取る必要があります。
この作業を怠ると、塗料が外壁に密着しにくくなってしまいます。
「高圧洗浄面積=トータルの塗装面積」となる場合が多いですが、窓の面積も入る場合があります。
また、面積がそれほど大きくないのであれば「一式」と記載される可能性があります。詳細が気になるのであれば「一式とありますが、内訳を教えてもらえますか?」などと聞きましょう。


下地補修について

外壁塗装の分野における下地補修のメインは、「ヒビのケア」です。
モルタル壁のヒビを埋めたり、外壁サイディングのヒビを補修したりする事になります。
小規模な補修で済むのであれば「一式」と書かれることでしょう。
外壁全域にヒビが多くあるのであれば、「外壁面積×下地補修作業単価」で算出される可能性もあります。


シーリングについて

多くの外壁サイディングには、「伸縮性のある目地材」が、外壁材同士のスキマに置かれています。
この目地材のことをシーリングと呼びます。
シーリング工事には、「交換(撤去→新規設置)」と「打ち増し(撤去せずに、上からさらに設置する)」の2タイプがあります。
撤去作業料金が発生する「交換」のほうが頑丈になりますが、料金が高くなります。
シーリング作業の料金は基本的に「シーリングの幅×作業単価」で算出します。
「一式」と書かれることもあります。
また、シーリングにも色々なタイプがあり、それぞれ頑丈さが異なります。
主なシーリングのタイプと耐久性
・オートンイクシード15+ 15年~
・変成シリコン      10年~
・ウレタン        8年~
「シーリングに塗装せず露出させる」という条件では、それぞれ上記の年数もちます(目安)。
シーリング材の上から塗るのであれば、オートンイクシード15+かウレタンを用います。
シーリング材の上から塗らない(新築・クリア塗装など)のであれば、オートンイクシード15+か変成シリコンを用います。


外壁塗装

原則として「3度塗り」をします。
サイディング外壁であれば、「シーラー」で下塗りをし、その後2回上塗り材を使います。
シーラーを使っておかないと、上塗りの密着性が下がってしまいます。
モルタル外壁の下塗りには、「細かなヒビのカバー」と「密着性の確保」が一緒に行える「フィラー」という塗料が用いられます。それが済んだら2回上塗り材を使います。
外壁塗装料金は「塗装面積×作業単価」で計算するのが普通です。
窓などの「塗装しない部分」の面積は差し引くのが普通であり理屈の上でもそれが正しいはずですが、稀に窓なども塗装面積に入れる業者があるので気を付けましょう。

主な塗料の耐久年数
・無機塗料   20~25年
・フッ素塗料  15~20年
・ラジカル塗料 13~15年
・シリコン塗料 10年
・ウレタン塗料 8年

ウレタン塗料の料金が最も安く、無機塗料が最も高いです。
また、上記は「外壁に塗る場合の年数」です。
「屋根に塗る場合の年数」は、上記の年数に0.6前後をかけて算出します。
例えば、ラジカル塗料なら7~9年です。
屋根は紫外線によるダメージが大きくなるので、どうしても耐久年数が短くなるのです。


屋根塗装

外壁塗装と同じく、「下塗りと上塗り×2」を行いますが、「下塗り、中塗り、上塗り」と書かれる場合もあります(意味は一緒です)。
屋根塗装の料金は「角度を考慮した実面積」をベースとして算出します。
ちなみに、「『外壁塗装の塗料』よりも耐久年数が長い塗料」を屋根塗装に使えば、次の屋根塗装と外壁塗装のタイミングを揃える事ができるので、業者と相談してみましょう。

軒裏塗装

天井部分(家の下から見た場合の外壁の上部)の塗装のことです。
料金は「該当範囲の面積×作業単価」で算出します。
軒裏には、通気性の高い塗料を使います。軒裏にはベランダ床下や屋根裏の結露が集まるからです。
通気性が低いと塗膜がダメージを受けますが、通気性が高ければ湿気を追い出して塗膜の寿命を延ばすことができるのです。

鼻隠し塗装

雨樋の金具がある箇所(軒裏→屋根方向に立ち上がっている箇所)のことを「鼻隠し」と言います。
塗装料金は「鼻隠しの長さ×作業単価」で計算します。
上記以外では、
・雨樋
・土台水切り
・雨戸、戸袋
・シャッターボックス
・養生
・ベランダ床面
などにも塗装や養生等の作業を施すことになります。

各種経費

業者の事務所維持費、通信費、交通費、事務費、利益などのことです。
これとは別に、安全対策費、保険費、産業廃棄物処分費、現場管理費などもあります。
これらの項目はあえて記載されず、見積金額のどこかに入れてしまう場合が多いです。
率直に言って、依頼者側があまり気にすべき部分ではありません。

まとめ

見積書を比較するときは「合計金額」だけでなく、塗料の等級などの細かい部分もチェックしましょう。
「150万円で低品質な作業をする業者」と「170万円だけれど、高品質な作業をする業者」のどちらがいいのかという話です。
「そもそも信用に値する業者なのか」を見積書から見極めることも重要です。
見積書を雑に作る業者は、作業も雑である傾向にあります。明細が曖昧な見積もりもあまり信用できません。
最低限、「塗料のメーカー」「塗料の名前」「施工面積」「施工範囲」は全て明確に分かる見積書でないと不安が残ります。
見積書を発行してもらい、不明点があるのであれば疑問が消えるまで質問しましょう。

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